古代裂とは
一般的には、古い時代の染織品のことで、明治以前のものを指します。至巧会では江戸時代末期までに作られたもののみを古代裂としております。素材は絹でできた、能衣装、小袖、打掛、帯、法衣、又、夏物として、麻に染織、刺繍をしたもの、藍で染めたもの等、品位の高い織物を指します。
星ていこと古代裂の出会い
京都の人形作家、松本波の作る人形衣装をきっかけに古代裂に魅了され、至巧会のトレードマークとなるまでの重要な素材となりました。
古代の絵画や彫刻と同じように、文字に表せない色彩や模様が、年を経て次第に深みを与えてくれる自然の染料の変化ではないでしょうか。現代の労働時間的な作業では、考え及ばない繊細な心憎いまでの趣向がなされているのに驚かされます。失われて行くこの古代裂を良く保存して、鑑賞したいと思い、人形に託して楽しんでおります。– 星ていこ「御人形」より
至巧会の人形における「古代裂」
古代裂は江戸時代からの日本を、良き日も悪き日もじっと見つめ、またその歴史や風土を感じ取ってきました。
その鮮やかかつ褪せた風合いや色彩は「日本の物語」そのものなのです。
古代裂からお人形のテーマを決めること、テーマに合わせてお人形にぴったりの古代裂を探すこと、様々なパターンで至巧会のお人形と古代裂はお互いを呼び合います。そして日本の伝統技術を用い作られ現代に生まれたお人形は、古代裂をまとう事によって「日本人の心」を吹き込まれます。
また日本の歴史を語りかけてくださる先人たちがお亡くなりになっていくのと同じように、古代裂もまた日々、その数が失われていっており今や骨董店などでも手に入れる事が非常に困難です。
時を超えた日本の物語と、日本人の心。
古代裂をまとった至巧会のお人形は、私たちに残された最後の語り部なのかもしれません。